経営戦略の必要性 ④ なぜ、多くの企業で経営戦略(事業計画)を立てていないのか!?

今月、最初にお伝えしたとおり、きちんと戦略を立てた上で行動することが、誰にとっても、みなさんがどのような状況にあったとして、とても大切です。そのことを私は、大好きな鮎釣りの世界に置き換えて説明しました。人によってはゴルフだったり、誰かと交渉する場面だったりを思う浮かべるとわかりやすいのかもしれません。同じことが企業経営にも言えるため、当然、“企業規模の大小に関わらず”戦略的に考える会社とそうでない会社との間には、大きな差が生まれます。「うちは、売上高が1憶もないから、そんなこと考える必要はない」なんてことは、決してないのです。だけど、私が接する多くの企業さんでは、経営計画(事業計画)を作ってはおられません。

私の場合、戦略についての意識は、経営について考えるずっと以前から持っていたように思います。物心ついたころから、好きでよく戦争映画を見たり、戦車や戦艦のプラモデルを作ったりしていたことも影響していたのかもしれません。第2次世界大戦の戦史について、小学校低学年くらいの頃から、読み漁っていた記憶があります。その第2次大戦でいえば、大東亜(太平洋)戦争における日本軍の惨敗の連続は、戦略性の欠如によるところが極めて大きいと言わざるを得ません。例えば、過去の私のこんな記事をご参照ください。一方、当時の敵軍である米軍には、大局的かつ論理的な視点から戦略構築することができる優れた指導者が複数いました。例えば、皆さんは、スプルーアンスという将軍をご存知でしょうか!? かれはミッドウェー海戦の指揮をとり、その後、沖縄戦までを指導し続けました。(本当は、こうした優れた指導者を「生み出す仕組み」もあったことが大きいのですが、それはまたの機会に譲ります。)

一概に一緒くたにするのはよくないとは思うのですが、サラリーマン時代を含めて私がよく思うのは、第2次大戦時に犯した失敗からの教訓を、今も日本社会全体が学び、改善しきれていないのではないか(というより、実際にできていないと思っています。)ということです。このことは、日本のあらゆる組織において、いえることです。例えば、上級官庁であっても、街中の中小企業であっても、それは同じことです。

こうした状況を踏まえて、多くの中小企業が経営戦略を持っていない理由を3つ挙げるとすれば、次のようになると思います。なお、ここでは「忙しいから、そんなことはできない」という理由は考慮しません。「忙しいから」というのは本当に都合のいい言い訳でしかないからです。

 

1.論理性に対する理解の不足

頑張っているんだからなんとかなるはずだ、こんなに頑張ってるんだからその努力はわかってよね、といったいわば感情論-客観的に見ればこれは「甘え」でしかないのですが―でしか経営を考えることができないケースです。

 

2.責任意識の不足

事業を組織化して、一人でも人を雇えば、従業員を(採用した時よりも)より良い状況に導く責任があるというのが私の考えです。(それは、金銭面だけでなく、社会人・家庭人としての満足を充足させることや、この国を構成するひとりの人格としての成長を促すことなどがあると思っています。)しかし、中にはそんな風に考えない経営者の方もおられます。つまり、社員を、売上を上げて利益を出すためのツールの一つとしか見なしていないような経営者も中にはおられます。そういう方は、従業員に対する責任意識が不足気味となりがちです。責任って何なのかという質問があるかもしれませんが、その答えのひとつが「ノブレスオブリージュ」という言葉です。これは、高い地位に就くと、後進の者のに対して追うべき責任があるという考えです。こうした責任を果たさなければならないという意識があれば、社員にきちんと説明できる戦略を構築するという考えが、自然と出てくるはずです。

 

3.長期的視点の不足

多くの企業の経営者さんは、今を必死に頑張っておられます。そして、多くの会社ではいまはなんとかうまくいっています。多くの場合、それでよしとされるケースが多いのですが、実はそこに問題が潜んでいます。。そんな方々は長期的視点が不足しているのです。今、好調だからそれで良しとしてしまって、目の前のことにしか対応できなくなってしまうのです。

 

以上、中小企業で経営戦略を立てていない理由を3つ挙げましたが、ややアカデミックな(堅苦しい)話になったような気もしています。貴社に直接お尋ねする機会があれば、もっとざっくばらんにご説明したいと思います。

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