経営理念について ② メリット・デメリット(あるとき・ないとき)

2.経営理念のメリット・デメリット

前回お話した三菱自動車のホームページを開いて、改めて同社の経営理念を確認してみました。そこには、こう記されています。

「大切なお客様と社会のために、走る歓びと確かな安心を、こだわりをもって、提供し続けます。」

さらに、

「■大切なお客様と社会のためにお客様第一主義に徹します

お客様からご満足いただくことを最優先に企業活動を行います。そのためには環境問題への対応や安全性の追求に全力を尽くし、お客様のご満足を通して社会から信頼される企業を目指します。」

(「」内は、同社ホームページから抜粋)

とあります。

社員みんなが心からそう思っていたのなら、今回のようなことにはならなかったはずです。

経営理念を形だけ作っても、そこに魂がこもっていなかったと言わざるを得ません。結局、そのために企業としての存続が危うくなりました。

ひょっとしたら、経営理念なんかなくても経営はちゃんとできると思っている方もいらっしゃると思いますが、現実にこのようなことが起こり得るのです。

 

 さて、私が考える経営理念のメリットとデメリットは次のとおりです。

・(良い経営理念があれば)社員の心を動かし、燃えさせることができる。

  ⇔(良い経営理念がなければ)会社の仕事に心から打ちこむ人材が、出てこなくなる。

・社内の共通言語や価値観を創ることができる。

  ⇔皆が話すことがバラバラ。価値観もバラバラになる。

・ビジョンが生まれる。そこから、社員の肚におちる(共感してもらえる)戦略が生まれる。

  ⇔明確なビジョンが生まれにくくなる。

・その会社に相応しい規範や行動基準が生まれる。だから、モラルが高くなる。

  ⇔正しい規範やモラルが生まれにくい。

・理念を周囲に伝えることで、外部関係者の支援を受けやすくなる。

・社長自身の行動力の源泉となる。

・その会社に相応しい人材を得ることができるようになる。

  ⇔自社に相応しくない人材を採用する可能性が高まる。そのため、様々な弊害が生まれやすくなる。

・仲間(社員)同士の連帯感を高めることができる。

  ⇔社員の連帯感が高まらず、意識の高いコミュニケーションが生まれにくくなる。

・社員を幸せにできる可能性が高まる。

  ⇔そもそも、理念が違う者同士が同じ組織にいては、幸せにはできない。

ページ上部へ戻る