良い戦略を作って、実行していくための取り組み①
「良い戦略を作って、実行していくための取り組み」として、今回は必ず押さえてほしい2つのポイントをお伝えしたいと思います。
その第1は、「経営者の経営スキルと経営センスを磨く」ということです。良い戦略を作り・実行するためには、まず何よりもこれが必要です。
そもそも経営スキルが不足していれば、「何に向かって」、「何をどう考えればいいか」さえわからないでしょう。つまり、検討すべきテーマもわからなければ、その方法ももちろんわからないという状況です。それはあたかも、険しい山を登るのに、どのような装備が必要かを知らないのと同じです。十分な水や食料、登山用の靴や服装、コンパスや地図なしで、どのような気候が待ち受けているかもわからない山道を、分け入っていくのと同じなのです。これがどれくらい無謀なことかは、すぐに理解していただけると思います。
けれど、これと同じことをしてしまっているのに、必要最低限の経営スキルさえ持たない経営者は、大勢います。
経営スキルという点でいうと、最初にお勧めしたいのが、「できるだけ多くのフレームワークを持つ」ということです。
このフレームワークについては、三枝匡氏が「ザ・会社改造」という書籍で述べている次の言葉が非常に参考になります。
”私の考えでは、経営者の優劣はフレームワークの有無で決まる。フレームワークとは、物事の本質や構造を理解し、わかりやすく説明するための「枠組み」のことだ。
有能なリーダーは何か異常を見たとき、「どうもこれは本来の姿ではないな」と思い、頭の中で警報が鳴る。そう思わない人は、異常だと思わず通り過ぎてしまう。
すなわち、「何か変だな」と気づいた人は、頭の引き出しのなかに「本来ならこうだ」「正常ならこうだ」というイメージや考えをすでに持っているのだ。それと照らし合わせて、目の前の状態が正常か異常かを判断する。
有能なリーダーほどフレームワークをたくさん持っていて、場面ごとに、この場合はこの考え方が使える、また次の状況では別の考え方が使えると使い分けていく。これが有能なリーダーが実際に行っていることである。”
こうして自分なりのフレームワークを蓄積していくうちに、経営センスもどんどん磨かれていくと思います。
それはあたかも、私が好きな釣りで、「この季節のこれくらいの水温のときには、こんな瀬で釣れる」という経験(フレームワーク)をたくさん持っている人が、他人よりいつも多くの魚を釣り上げるのとよく似ています。