経営戦略の必要性②  初投稿後、少し修正しています。

前回の記事の最後で言いたかったことは、「環境の変化」です。私自身の実感として、自分が子供の頃と比べて、蚊に刺される回数が格段に減りました。考えてみると、街中で暮らしていると住宅の気密性が高くなったことや、昔はどこにでもあった原っぱや水たまりがなくなったことなどが大きく影響して、蚊に刺されることがとっても減っていると思います。こうした変化は、かゆみ止め薬を作っている会社にとっては、望ましくないものばかりではないでしょうか。また、近年では虫よけスプレーという競合品も、普通に使われています。となると、”かゆみ止め薬だけ”を作っている会社があるとすれば、これも脅威です。経営戦略をつくる第一の意義はここにあります。つまり、「環境変化に備える意識が生まれる」ということです。

普通、事業計画を作るにあたっては、将来どうなるか、どうしたいかといったことを考えることになります。それはつまり、「今だけを考える経営」から、「将来を見通す経営」への転換です。その過程で、例えば、10年後には世の中や業界はどのように変化しているだろうと考えるプロセスが生まれます。企業経営においては、こうした意識やプロセスを持つことが極めて重要です。もちろん、経営戦略はビジョンの実現のため、行動計画(アクション・プラン)を作るために必要なものです。しかし、それ以上に「変化に対応する」ことが、企業の存続を保証する上で死活的に重要なのです。

このような過程を経ることができれば、例えば、これまでは蚊に刺された後に塗るかゆみ止め薬しか作っていなかったけれど、今後は予防スプレーを開発しよう! といった発想を得て、戦略を転換することができるかもしれません。一方、何も考えずにいる会社は、時代の流れの中で沈むだけです。

だから、こうした変化に対応できなければ仮に今、売上高が伸びていたとしても、何年か後に―それは3年後かもしれないし、30年度かもしれませんが―苦境に立たされるかもしれません。こうした事態を避けるために、経営戦略が必要なのです。

多くの経営者や経営幹部の方は、今、目の前の資金繰りや今期の売上高をなんとかすること、新商品・新規事業をなんとか認知してもらうことに必死で取り組んでおられます。それはそれで大切なことですが、持続的な成長のためにはまず3年後、5年後を意識するようにしてください。それが、みんなが安心して働ける会社の歴史になります。

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