強みについて ①
どのような業種・業態であれ、経営していく上では欠かせないことがあります。それは、「自社の製品もしくはサービスというものがあり、それに対して対価としての金銭を支払ってくださる顧客が存在している」ということです。至極、当たり前の話です。しかし、その当たり前のことが、きちんと形作られていないお店や会社がたくさんあるのも、事実です。そういう状況にないのに、例えばお店を開いているというのであれば、いわばそれは単なる自己満足といわなければなりません。
多くの企業さんや経営者さんが苦労することの最たるものは、「対価としての金銭を支払ってくださる顧客」を見つけることです。その顧客は、競争環境が激しい毎日の中で、そして「過去」や「未来」というの時間軸の中で、常に自らに最適な時間・空間を求めて移ろい続けている存在です。そんな顧客をつなぎとめる最大の武器が、「自社ならではの強み」です。当然のことながら、競争環境が緩やかであればさして大した強みがなくとも、顧客をつなぎとめることができます。もし、そこに市場やニーズが存在すればですが。一方、競争環境が厳しければ、強みがなければ生き残ることは不可能です。
さきほど、時間軸の話をしましたが、多くの経営者の方はこの点についての認識が不足していると感じています。つまり、これまでのビジネス(=つまり、「過去の」ビジネス)ではさして強みについて考える必要がなかった、だからこれかれもそのままでいけるだろう、と考えている経営者さんが多いように感じているのです。「これまで、過去のビジネス」でさほど強みについての認識を問われなかった理由のひとつは、購買欲旺盛な市場がそこに存在したからです。少子化や高齢化、もしくは労働力の不足云々が言われる前の日本のあり方ですね。そのイメージのままに経営を続けていると、強みについてあまり深い思いを持たなくなってしまいます。そうなると、自社の製品やサービスの特長が失われーもしくは輝きを失ってー、だんだんと対価を支払ってくださる顧客が消えていってしまいます。