経営ビジョンについて④  経営理念と経営ビジョンの違い

経営理念と経営ビジョンについて、あまり違いを認識されていない経営者の方もいらっしゃるようです。というか、そういう方のほうが多いのではないでしょうか。中には、「そんなことをいちいち考えていて、何になるんだ!?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。けれど、経営を考えていく上ではー本当は経営だけではなく、どんな世界であっても同じですー、一つひとつのことを丁寧に、他の誰よりも真摯に向き合って考え、実行していく人が成果を出すものです。それが、アマチュアとプロ人材の違いの一つなのだと、私は思います。もし、経営者にもアマチュアとプロがいるとしたら、皆さんはどちらに属するのでしょう。常々思うのですが、会社を興して何年も経営をしていて、一定の売上が上がっている。だからといって、それだけでプロの経営者といえるでしょうか…?   経営者は、多くの人の人生を、たった一度の貴重な人生を預かる立場にあります。そのことを正しく認識するなら、アマチュアの経営者であっていいはずがないですよね。

さて、それでは、経営理念と経営ビジョンの違いについて、いくつか一緒に考えてみたいと思います。

1.作成する主体者の違い

一言で言うと、経営理念は経営者が己と向き合い、自分一人で作り込むものです。一方、経営ビジョンは、経営者が自分で作って社員に告知してもいいし、経営者と従業員とが一体になって、一緒に作ってもいいものだと思います。

2.時間軸の違い

経営理念は、現在進行形の文章です。そして、未来形の文章でもあります。つまり、当社は、○○を実現する企業ですといった言葉で、今もそうしているしこれからもずっとそうだといって表現するものです。一方、ビジョンは「(今はそうなってはいないけれど)いつかはこうありたい」という夢や希望を語るものです。ただ、企業経営においてはいつまでも「いつか」では困ります。したがって、経営ビジョンは「いつまでにこうありたい」といったふうに期限の定めが必要です。

3.具体的な目標値の有無

経営理念は「○○によって世の中に貢献します」といった思いは伝えますが、多くの場合というか、ほとんどの場合、それがどのくらいのレベルかまでは約束しません。一方、経営ビジョンは、「3年後に売上高を1.5倍にする」といったように、具体的な目標値を明らかにすることが多いです。というか、良い経営ビジョンは、「いつまでに、何が、どれくらいになっているか」が明らかであり、そのことを経営者と社員がともに共有している」ものなのです。理由は、そうすることで組織に関わるスタッフのモチベーションが高まり、目標を達成せる可能性が高まるからです。

 

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