経営とは③ 少し加筆・修正しました。(11/6)

「経営理念を実現すること。」

これが、経営者にとって最も大事な目的です。巷間には、ともすれば「経営の最も大事な目的は、社員を幸せにすることである」とするような考え方があるようです。社員を幸せにすることが大切なのは、私も否定しません。けれど、そのこと以上に大切なのが、「経営理念を実現すること」であると思っています。

 

「社員の幸福を図るとともに、成長の機会を提供すること」

今お話した通り、社員の幸福を実現することは経営する上で極めて大切なことだと思っています。しかし、それだけでは十分ではありません。もう一つ、「社員に成長の機会を提供する」という大切な目的、もしくは役割があるからです。

企業は、社会に受け入れられて初めて、存続することが可能な存在です。その社会との関わりの中で、「人」をお預かりして、その人たちを「社員」と呼んで働いてもらっているわけです。その社員たちは、「お預かりしている時間」以外のときは、常に社会に戻っていく存在です。お預かりした人たちに、すこしでも成長してもらって帰ってもらうことが、お預かりさせてもらった側が持つべき心の有り様だと、私は思います。また、そうすることで、自らの存在基盤である社会の質も高まり、より良い世の中が実現するのだろうと思います。そのことは、結局、企業が存続し続けるのに相応しい世界につながっていくでしょう。

これを社員の側から見ると、こんな話になります。、多くの人にとって、高校や大学を出るまではそれらの学校で学ぶことが可能でした。しかし、卒業してしまうと、自分で高額な月謝を払って英会話学校などに行かなければならなくなってしまいます。よほどの目標がなければ、いつまでもこうした高額の月謝を払い続けることは、多くの人にとってあまり現実的な話ではありません。しかし、ここまでのお話でお分かりの通り、誰にとっても学びを得ることができる場がもう一つあります。それが、会社です。

ここまでのお話でご理解いただけるかと思うのですが、私は単に「会社が利益を上げて、経営者・社員とも幸せになる」ことだけでなく、「社会の中で生かされている存在である企業は、世の中を良くすることに貢献するという大切な役割」があると思っています。

したがって、経営者の方にはぜひともこうした「経営についての正しい認識」持って頂き、①ご自身の理念を実現した上で、②より良い社会づくりに貢献できる会社を作って頂きたいと思います。

たまに、社員を自分の道具のように扱い、何の敬意も払わないで接する経営者にお会いすることがありますが、そのような在り方は間違っていると思います。つい最近も、電通という会社で、不幸な過労死の事件がありました。ここでお話しているような、正しい経営を認識することができていれば、こんなことは起こらなかっただろうと思います。

ところで、ここまでのお話で、「顧客」について出てこなかったとお考えになられた方が、いらっしゃるかもしれません。この点については、別の機会にお話することができると思います。

 

 

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