日本型組織の特徴①

ここのところほぼ同じテーマについて、「失敗の本質」という本を用いてブログでも記事を書いていました。
この本から、日本型組織の特徴ともいえるものが、見えてくると思います。
その特徴は、①組織についてと、②戦略についての二つに分けて考えるとわかりやすいと思っています。

まず、組織については、”組織的な学習が苦手だ”という側面に着目する必要があると思います。
例えば、同書には次のような記述があります。

「およそ日本軍には、失敗の蓄積・伝播を組織的に行うリーダーシップもシステムも欠如していたというべきである。」(P325)

「これは、物事を科学的、客観的に見るという基本姿勢が(日本軍に)決定的に欠けていたことを意味する。」(P326)

「また、組織学習にとって不可欠な情報の共有システムも欠如していた。日本軍の中では、自由闊達な議論が許容されることがなかったため、情報が個人や少数の人的ネットワーク内部に留まり、組織全体で知識や経験が共有されることが少なかった。」(p327)

「大東亜戦争中、一貫して日本軍は学習を怠った組織であった。これに対して、米軍は理論を尊重し、学習を重視した。」

ここで注目したいのは、「自由闊達な議論が許容されることがなかった」、「失敗の蓄積・伝播を組織的に行うリーダーシップもシステムも欠如していた」、「物事を科学的、客観的に見るという基本姿勢が(日本軍に)決定的に欠けていた」といった言葉の数々です。
これらは、”日本軍”という組織にだけ起こったことで、現代の組織には関係ないことでしょうか。おそらくそれは、違います。例えば、同書のアマゾンの書評欄を見ると、多くの企業人が「これは現代の自分たちの組織と全く同じ症状だ」とコメントしています。そのことからだけでも、明らかなことでしょう。

したがって、こうしたことがなぜ起こってしまうのか!? を考えることが、「日本型組織の特徴」の根本的な部分を考える上でとても大切になっていくのだと思います。

ひとつは、”年功序列”以前に、年長者を敬う文化が大きく影響していると思います。もちろん、年長者を敬うことは良き文化であるとは思うのですが、時としてそれは、というか多くの場合、”自由闊達な議論”を阻害しているでしょう。そうならないようにするためには、”組織のリーダーの器”が問われると思うのですが、現実の話としてはそんなに優れた器のリーダーが多いことのほうが稀でしょう。

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