経営理念について ① 経営理念とは何か

 最初の「経営問答」の問いかけは、「経営理念」にしました。4日にお題をお出ししてから、私なりに改めて経営理念について、毎日考えなおしていました。その間、新たな気づきを得たいと考え、いくつかの書物を読み込んだりもしていました。例えば、NHKのプロフェッショナルでも紹介された心臓外科医天野篤さんの「熱く生きる」という本です。読んでいて、この方の根本には本当に強い(熱い)理念や使命感が流れているのがよくわかります。ちなみに、天野さんは天皇陛下の心臓手術を執刀されたことで著名です。

 一方でこの間、その全く反対で、理念なき経営や理念なき人間がどのような道を辿るかを、皆さんも目の当たりにされました。私が申しているのは、三菱自動車や東京都知事のことです。

 さて、経営理念について、あくまで私なりの考えを3つのパートに分けてお伝えしたいと思います。

 今日はその最初で、「1.経営理念とはなにか」についてです。

1.経営理念とは何か

・辞書で確認すると、「経営理念」について、こう書いています。「企業の創設者および経営者が,その企業経営にもっている基本的考え方。」

私は、セミナーで自分なりに説明するときは、「経営の根っこであり、会社の存在理由そのものです。」と説明しています。

 

・セミナーではよく経営の全体像についてお話しますが、必ず最初に来るのが経営理念です。また、経営には戦略や計画が必要ですが、理念なくして戦略や計画は語れないと思っています。

 

・経営理念が大切であるという点については、多くの経営者さんが賛同してくださいます。一方で、経営理念をしっかりと作り、経営に活かすことができている企業は少数派です。

経営理念が根っこであるのに、根がない経営をしていては、経営自体がぶれてしまうわけですが、そういう企業さんが多いというのが実感です。

 

・経営理念に必要な要素は、明確に定義されているわけではありませんが、「存在理由そのもの」であるためには、「なぜその会社を作った(経営している)のかがわかる」こと、つまり、「自らの事業を通じて、顧客や社会に何を(どんな価値やサービスを)提供できるのか(したいのか)」が明らかになっていることが必要です。さらに、「その経営者(会社)の心からの言葉(思い)を反映している」ものであることが大切です。

 

・真に心からの思いであるのであれば、その理念は自然といろんな場面で経営者の口をついて出てくるのだろうと思います。今、このコラムを読んでくださっている方の会社がそういう状態でないとすれば、この後に記す「メリット」や「留意点」を踏まえて、改めて経営理念について考えてみられてはいかがでしょう。

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